アルカリイオン水の生成方法と性状

アルカリイオン水の効果

厚生労働省告示第112号(平成17 (2005) 年)において、家庭用医療機器であるアルカリイオン整水器(家庭用電解水生成器)の使用目的は、「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」と定められています。「胃腸症状改善」とは、臨床試験で確認された試験成績に基づく効果です。

従来は、胃腸症状として、「慢性下痢」・「消化不良」・「胃腸内異常発酵」・「制酸」・「胃酸過多」に有効とされてきました。これらについての疑問が国民生活センターから出されたことを契機に、厚生省(現厚生労働省)の要請に基づいて平成5 (1993) 年に第三者研究組織として組織された「アルカリイオン整水器検討委員会(委員長 糸川嘉則京都大学医学部衛生学教授)」によりアルカリイオン水の安全性と有効性に関する再検証が5年にわたって実施されました。
その結果、二重盲検試験を含む厳密な比較臨床試験(飲用水としては世界初)により、「アルカリイオン水は軽度の胃腸症状の改善に有効」との結論が示され、厚生省に報告書が提出されました(平成11(1999)年)。アルカリイオン整水器検討委員会による検証結果については以下の科学論文に紹介されています。

・ 糸川嘉則: 「飲用アルカリ性電解水(アルカリイオン水)研究の流れ」 機能水研究 2: 59-64 (2004)
・ 菊地憲次: 「アルカリイオン水(飲用アルカリ性電解水)の基礎」 機能水研究 2: 65-69 (2004)
・ 田代博一ら: 「慢性下痢に対するアルカリイオン水の有用性の臨床的検討-double blind placebo control studyによる-」 消化と吸収 23: 52-56 (2000)

なお、一般的に推奨されるアルカリイオン水の飲み方として以下のような留意点が上げられます。
初めて飲まれる方は、いきなりpH9~10のアルカリイオン水を飲むのではなく、整水器のpHを先ず低めに設定(pH8~9.0程度)し、コップ1杯から少しずつ飲むようにします。2週間ほど飲みなれた後、体質や体調に合わせて少しずつpHを高めたり量を増やしたりし、pH9.5程度でできるだけ出来たてのアルカリイオン水を飲用するようにします。子供やお年寄りの場合も、同様に徐々にpH値を上げていきます。
乳児(生後1年位まで)の場合は、ほとんどが母乳やミルクを摂取しているため、腸の働きは通常の大人と異なるのでアルカリイオン水の飲用はお勧めできませんが、離乳食をとるようになれば上記のように飲用できると思われます。

一方、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの疾患の治療を目的としてアルカリイオン水を使用している例がありますが、その効果についてはこれまで臨床科学的に証明されておらず、国からも認められておりません。

【参考】アルカリイオン水の効果の要因について

アルカリイオン水の胃腸症状改善効果のメカニズムについては、これまで様々な仮説が提唱されてきていますが、現段階で明確に解明されておりません。原水(水道水)に比べてアルカリイオン水において存在量が明瞭に変化している物質として、陰極反応で生ずる水酸イオン(OH)と水素(H2)、そして陰極に引き寄せられて増加するカルシウム(Ca2+)があります。これらが単独または複合的にアルカリイオン水の効果に関係する要因として考えられています。

昭和41(1966)年に厚生省がアルカリイオン水を認可した際の理由は、古くから胃酸過多症・小児消化不良・下痢に効果があるとされている水酸化カルシウム[Ca(OH)2]がアルカリイオン水中に生成していると判断されたからでした。しかし、これだけではアルカリイオン水の胃腸症状改善効果を説明することはできません。

そこで数年前より、アルカリイオン整水器検討委員会のメンバーをコアとする諸大学の研究者からなる研究班が(一財)機能水研究振興財団において組織され、以下のような研究が進められています。

これらの研究を通じて、水素が有力な要因としてクローズアップされています。

効果の要因 根拠・仮説など
水酸化カルシウム 胃酸過多症・小児消化不良・下痢に薬理効果あり
pH値 アルカリ性pHによる胃の神経層への刺激
水酸化物イオン(OH 界面活性力や表面張力の変化(浸透圧の低下)
水分子の会合状態 水の分子集団(いわゆるクラスター)が変化
酸化還元電位(ORP) 還元力による酸化抑制
水素(H・/H2 水素による活性酸素との反応/脂質過酸化抑制

<水素について>

アルカリイオン水(pH9~10)には、陰極における水(H2O)の電気分解によって生ずる水酸イオン(OH-)と水素(H2)が含まれています。
それらの生成量は、pHと相関性があり、pHが高いほど多くなります。

通常の水道水を電解した場合、アルカリイオン水中の水素は水に溶解している溶存水素とコロイド状の微小水素気泡(ナノバブル:3~600nm)として存在しています。
水素濃度はpH9.5のとき0.4~0.8ppm程度といわれています。

・ 菊地憲次 機能水研究 2: 65-69 (2004)
・ Kikuchi K. et al J. Electroanalytical Chemistry 506:22-27 (2001)

なお、上記の化学的性状から、アルカリイオン水は「水素含有飲用アルカリ性電解水」とも言うことが可能です。
また、原水(水道水)に比べて酸化還元電位が低下しています。こうしたことから、アルカリイオン整水器協議会では「アルカリイオン水は、水素を含むこと、水素は効果要因として有力であること、酸化還元電位が低いこと(還元状態)、生成してすぐに飲用すること」を踏まえて、各社の判断と責任においてアルカリイオン水を商品名として電解水素水、還元水素水、電解還元水等と呼称することを容認しています。

その他にもこれまでに、水分子の会合・分子集団の変化(いわゆるクラスター理論)、活性水素による活性酸素との直接的反応、水酸イオンによる界面活性力や表面張力の変化(浸透圧の低下)、アルカリ性pHによる胃の神経層への刺激など様々な仮説が提唱されています。
しかしながら、何れも信頼性の高い科学的根拠としては現在のところ認められておりません。

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